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2011/07/29

弁護士TVCMがこれから多様化か?

弁護士CMが2006年に秋に鹿児島にTV地方局で始まってから、すでに5年を迎えようとしています。この間、弁護士のTVCMへの進出は、多重債務問題・「過払い問題」に後ろ押しされる形で出てきました。

これまで、弁護士TV広告のほとんどが、「借金でお困りの方へ電話の問い合わせを呼び掛ける」ものだったのです。

このブログでもとりあげてきましたが、「債務整理に関しての消費者との弁護士・司法書士とのトラブル問題」によって業界の規制がおおむね強化されてきました。
また同時に多重債務問題の縮小(多重債務者の減少)が言われてきており、これらが引き金となって、債務整理のCM一色だった弁護士の広告に変化が表れています。

法律サービスが多様化し、広告という手段を使ったお客への告知をさまざまな形で考えるようになっていると思います。

裁判員制度に関するTVCMが放送されたようです。

北海道のある弁護士事務所がクライアント。

放送エリアは北海道エリアで地方局1局使用ということがクライアント弁護士のブログに記載してありました。

内容は、「裁判員制度によって裁判員に選ばれた人の相談に乗ります」というCMです。
確かに言われてみれば、裁判員に選ばれれば、みんな「びっくり」するわけで、戸惑いに対応するのは、法律家としては自然なことでしょう。

また、制度導入までには法曹界でも賛否がわかれていたことが報道されてきましたから、いまでも反対の法曹者もいると思います。
そんなわけで、このCMが表れても自然といえば自然ですが、債務整理一色の弁護士TVCMにあってこうした流れが今後強くなっていくことを強く感じさせる意味でも、いわば「びっくりCM」ではありました。

Uチューブに公開されていましたので、引用します。 裁判員制度CM
http://www.youtube.com/user/INOhouritsu?feature=mhum

このTVCMはまた、もうひとつ問題を気付かせてくれます。放送局のCMの表現規制という問題です。

というより、放送局のクライアントとして定着していくには、どうしても通らねばならない問題に気がつかせてくれます。

つまりは、業界用語でいう 「考査」 です。

 このTVCMを放送した弁護士がブログで面白いことを書いているので、一読ください。

http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-290.html

このなかで、局の「考査」との対応についてつぎのように書かれています。

*「事前審査に出したところ、全くもって無理。
 そもそも、現行の法律に反対するようなものは一切不可。「憲法」という文字も不可。
 ということで、見る見る間にトーンダウンした内容になりました。

 さらに、今回の内容ですら難色を示し、要は、私の事務所のホームページをCMの中で紹介しているが、そのホームページが裁判員制度に反対している、そのようなところに、CMから行き着くのでは苦情が出かねない、ということで放映はダメということでした。 」*

放送局がジャーナリズムに基づいて永田町政治を大いに茶化し、また本編でショッピング番組を大量に流して、ここは本編だからCM時間にならないと主張しているのは、周知の事実です。

もっといえば、ねつ造問題も登場するのも、この番組本編のなかです。

いわば無限に、憲法に保障された表現の自由を、放送局が本編とするところで享受し、一方で、CM基準という極めて厳格な規定を設けて、CMを考査する制度があるのも多くのクライアントは知っています。

このCMの考査基準のなかには、現行法規を否定するものはだめというとうなモノから、公序良俗に反する「印象」のものはNG、まで大変幅広く解釈できるものとなっています。

この考査制度は、民間放送が広告収入依拠している以上、お金を出す側の要求や要望が通り安いことを前提に、その歯止めとして機能しています。いわばお金を出してCMの枠を買うという広告表現に対して、「お金さえだせば表現が買える」という事態を招かないために必要な制度であると思います。

しかしながら、忘れてならないのは、その運用は、放送局の側に一方的にゆだねられているということです。したがって広告収入に依拠する民放経営は、制度として表現上の基準=公共の秩序や公共の利益にかなうことを前提にした基準、をもてはいますが、その制度も含め広告収入に依拠していることです。

極端にいえば、機構上の指揮系統はあっても、表現上の基準は営業活動のしもべとならざる得ないのです。

かつて、消費者金融は TVCMの華でした。 結果として、多くの多重債務者を生み出す役割の一助を果たしました。
膨大な資金量を広告費に投下したクライアントは大事なお客様だたのです。

また電力会社・電力事業者連合会・は各地で膨大な予算をつかって、国策「原子力政策」を推進してきました。原子力の安全性を間接・直接に描いた本編番組やCMは、過去からいうと膨大なものになると思います。

これらの広告もひとしく、放送局考査を経てCMは放送されてきました。

リーマンショックのあとに、広告費が落ち込んでテレビの終焉とまで言われたときがありました。
それから3年、昨年中盤から今年の3.11までは、放送局広告は広告枠よりも広告を出したいという希望者のほうが多い、ミニバブル状態でした。

またことしの後半も、TV広告は満杯気味になのではと関係者のなかでは言われています。

こうした広告費の需給や、投下金額の多寡、局側にとって放送したい業種かどうか、というような要素が、結局放送局の「考査」に深くかかわっているということです。

要は、放送局側がどう思うかによって、基準は変えられないが、運用は一定の範囲で自主的に変えられるというものです。

たとえば端的な例でいうと、業界の人しかしらない「営業受理」です。
この詳しい中身は省きます。

弁護士広告でいうと、放送局の受け止め方は、債務整理の広告は、最初は弁護士さんがやっていることだから問題ないだろうという雰囲気で、場合によっては弁護士会に問い合わせるようなことが会った程度です。

その後、弁護士業界の内部ガイドラインなどがあって、放送局の考査のハードルがあがりました。

現在弁護士のTV広告でいうと、業界規定の努力義務を援用し、報酬と直接面談の表記を考査で言ってくるところが増えています。
そのまま実施すると、かつての消費者金融のサラ金CMがそうだったように、一瞬で消える文字が画面に一杯ある・・・という事態になってしまうのです。
ある大手の事務所の債務整理広告が公開されていますので、参考までにご覧ください。
   →
http://www.youtube.com/watch?v=jaBVDJWocCY&feature=youtu.be

その根拠の業界の規定は、「努力義務」にとどめているにも関わらずですが、ようは批判されることだけはしたくないためにも、小さな文字だけでもリスク回避のために表記をもとめるというのが、放送局側の慣行になっていると思われます。

いわば リスク回避の記号論としての考査とそのTV的表現ともいえましょうか?

なにも放送局批判をするためにこうしたことを指摘しているわけではありません。

いま起きていることは、いよいよ弁護士業界が、弁護士広告が、放送局広告ならではのことを知っていき、なおかつ粘り強く付き合って、TV広告のクライアント業種として定着しつつあるということを意味するのでは・・と思っています。

弁護士広告の多様化は、クライアントとしての業界の広告を出側への理解も一方で促進しているように思えます。


 写真3_convert_20110729124034
 放送局の弁護士出演番組  この写真と本文は無関係です。


参考までに以下が民間放送連盟の放送基準です。

http://www.mro.co.jp/mro-info/15kokoku.htm
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