2011/01/29

債務整理事件処理の規律を定める規程案(日弁連)について その2


続編を先週に続いて掲載します。

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債務整理事件処理の規律を定める規程案(日弁連)について 一部概要 その2




■第4条 事件処理方針等及び不利益事項の説明

(事件処理方針及び不利益事項の説明)
第四条 弁護士は、債務整理事件を受任するに際し、事件処理の方針及び見通し、弁護士報酬及びその他の費用(以下「弁護士費用」という。)並びに当該方針に係る法的手続及び処理方法に関して生じることが予想される次に掲げる事項その他の不利益事項の説明をしなければならない。

一 破産手続を選択したときは、法令の定めによる資格等の制限により当該債務者が就くことのできない職業があること。

二 当該債務者が信用情報機関(資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び金融機関に対する当該情報の提供を行うものをいう。)において借入金返済能力に関する情報を登録され、金融機関からの借入れ等に関して支障が生じるおそれのあること。

三 当該債務者が所有している不動産等の資産を失う可能性があること。

2 前項の説明は、前条に規定する聴取を行った弁護士において、自ら、当該聴取に引き続いて行わなければならない。

3 前項の規定にかかわらず、第一項の説明は、前条に規定する聴取を行った弁護士の同席の下で、他の受任弁護士(弁護士法人が受任する場合にあっては、当該弁護士法人の社員又は使用人である弁護士であって、前条に規定する聴取を行った弁護士以外の弁獲士をいう。以下この条において同じ。)において行うことができる。

4 第二項の規定にかかわらず、第一項の説明は、前条に規定する聴取に引き続いて行うに十分な時間が不足するときその他正当な理由がある場合は、当該聴取後、遅滞なく、当該聴取を行った弁護士において、自ら行うこができる。ただし、当該弁護士と十分な意思疎通を図った上で他の受任弁護士において説明することを妨げない。

5 前項の場合において、当談債務者が面談によらないで説明を受けることを希望するときは、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段を用いて説明をすることができる。この場合においては、当該弁護士が面談して行う場合と同じ程度に当該債務者が説明を理解することができるように努める。

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○処理方針とリスクについての説明責任の徹底を求めたもの。また説明すべき受任弁護士についての規定

受任弁護士は、第三条の規定により聴取・把握した事項を前提として、事件処理の方針及び見通し、弁護士報酬及びその他の費用並びに、当該方針を採ったことによりおこり得る不利益事項について説明しなければならない。




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■第5条 弁護士費用の説明等
(弁護士費用の説明等)文字色

第五条 

弁護士は、前条の規定により弁護士費用について説明をするに当たっては、債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないようにし、かつ、自らの弁護士報酬の額が適正かつ妥当であることの理解を得るよう努める。

2 弁護士は、弁護士費用に関する事項を委任契約書に記載するに当たっては、当該債務者に弁護士費用に関する誤解が生じないように努める。

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○弁護士費用、料金等の説明

解説によれば、債務整理事件の弁護士費用については批判・苦情が特に多いことから、説明に際して誤解が生じないよう忙するとともに、自らの報酬額について適正であることの理解を得.るべきことを努力義務とし`て定めている。


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■第7条 受任弁護士の明示

(受任弁護士等の明示等)

第七条

 債務整理事件を受任した弁護士又は弁護士法人は、当該債務者に対し、速やかに、弁護士に遭っては氏名(職務上の氏名を使用している者については、「職務上の氏名をいう。以下同じ。)及び法律事務所の所在地(法律事務所に名称がある場合にあっては、その名称を含む。以下同じ。)を、弁護士法人にあっては当該弁護士法人の社員(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の十四の規定に基づき当該債務整理事件について業務を担当する社員を指定した場合にあっては、当該社員)又は使用人である弁護士の氏名及び当該社員又は使用人である弁護士が所属する法律事務所の所在地を明示しなければならない。

2 前項の規定による明示は、弁護士及び弁護士法人が債務整理事件を共同受任した場合には、受任したすべての弁護士及び弁護士法人が、その明示すべきすべての事項について、共同してしなければならない。

3 債務整理事件を受任した弁護士又は弁護士法人が復代理人を選任したときは、当該債務者に対して、選任後速やかに、当該復代理人の氏名、法律事務所の所在地及び所属弁護士会を、書面、ファクシミリ、電子メールその他これらに類する適当な方法により通知しなければならない。

4 債務整理事件の復代理人に選任された弁護士は、選任後遠やかに、当該債務者に対して、前項の方法によりその旨を通知しなければならない。ただし、前項の規定による通知が復代理人との連名によるものであるときは、この限りでない。

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○受任弁護士の明示

債務整理事件においては、一部の事務所ではあるが、担当弁護士が頻繁に替わって依頼者を戸惑わせることや、ほとんど専ら事務職員のみが対応するために依頼者が認識しているのは事務所名のみであるというような例がある、としている。

また、甚だしい場合には、依頼者との面談に応じるだけのための弁護士を、他の事務所から一日だけ応援に呼び、当該弁護士がその後当該事件の事務処理に関与するわけでもなく、依頼者にとっては、当該弁護士事務所の何という弁護士であるかも不明であるという例があることを規定解説では指摘している。
                                            続く
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2011/01/17

債務整理事件処理の規律を定める規程案(日弁連)について その1

先週、弁護士業務に関しては、債務整理問で新たなルールを日弁連がつくるということがメディアで取り上げられた。日弁連が記者会見で発表したという。以下にメディアの論調を紹介する。

(2011年1月12日19時34分 読売新聞)

債務整理を巡り、弁護士と依頼者の間でトラブルが相次いでいるとして、日本弁護士連合会(日弁連)の宇都宮健児会長は12日、弁護士が債務整理を引き受ける際のルールを定めた「規程案」をまとめたと発表した。

 規程に違反した場合は、懲戒処分の対象になりうる。来月9日の臨時総会で過半数の承認が得られれば、4月から導入される。

 規程案では、債務整理を引き受ける際、原則として弁護士が依頼者と直接面談し、弁護士報酬について説明するよう義務付けた。払いすぎた利息を取り戻す「過払い金返還請求」では、返還額の25%を報酬の上限と定め、債務整理に関する広告の中に報酬の基準を明示することなども求めた。

 日弁連は2009年7月~10年3月、同様のルールを定めた指針をまとめたが、その後も、依頼者との面談を事務職員に任せたり、過払い金返還請求で高額な報酬を得たりする弁護士が後を絶たなかったため、拘束力のない指針では不十分と判断。違反者を懲戒処分にできる規程に格上げし、規制を強化することにした。

【朝日新聞】 債務の整理 弁護士に依頼人と面談義務化 日弁連

       2011年1月13日3時1分


 借金の整理をめぐり、依頼人と弁護士事務所のトラブルが多発していることから、日本弁護士連合会は12日、弁護士に依頼人との直接面談を義務づける新たな規則を設けると発表した。来月9日の臨時総会で正式に決める。大がかりな宣伝で全国から電話や出張相談の依頼者を集めるビジネスモデルに影響しそうだ。

 日弁連が定例会見で明らかにした「規程」案によると、弁護士が債務整理事件を受任する際、依頼者の債務の内容や生活状況、所有している不動産を処理する意向があるか――などについて直接面談し、確認することを義務づける。遠方に住んでいる場合などでも、電話や書面で内容を把握しながら、可能になれば速やかに面談することを求めている。

 規程案では、債務整理の報酬の上限も設定。裁判にせずに解決する「任意整理」では、貸金業者から借金の減免で和解できた場合などの「解決金」について1社あたり「5万円以内」とした。払いすぎた利息を貸金業者から取り戻す過払い金の返還でも、報酬は「取り戻した額の25%以下」などの基準を設けた。

 日弁連は2009年7月に債務整理についての指針を発表したが、強制力はなかった。一方、規程は会の正式な規則として扱われるため、違反すると懲戒の対象になる。

 全国からの依頼者の相談に応じているアディーレ法律事務所(東京)は、かつては電話のみの相談も受けていた。現在は全件面談をしているが、篠田恵里香弁護士は「直接面談でないことでトラブルになったケースはない。依頼者の経済的負担になり、選択の自由を奪うもので、面談を強制するのはおかしい」とコメントした。(河原田慎一)


日弁連の規定案は詳細なので、単純には分かりにくいので解説もついている。2月の総会でし成立させて4月から実施するということだ。

何回かに分けて、この規定案の一部について概要を見ていきたい。


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日弁連「債務整理事件処理の規律を定める規程」制定の経緯

提案理由
債務整理事件処理の規律に関する問題の所在とこれまでの経緯
 総論.
クレ・サラ事件と呼ばれる、主に消費者.・零細事業者を依頼者とする多重債務整理事件(以下「債務整理事件」とは特に断りがない限りこの趣旨で用いる。)に関しては、従前から問題とされていた非弁提携問鷹に加えて、近時、一部弁護士による不適切な事件受任の勧誘や、受任の仕方及び法律事務処理並びに不相当な報酬請求等が問題となっている。

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規定についての解説も交えて上記の提案理由をまとめると次のようなものだ。
 (以下にも条文の解説を踏まえ筆者のほうで簡単にまとめたものです)

「債務整理事件処理の規律を定める規程」は、過払金返還請求事件を含む債務整理事件が多量に生じている状況において、それらの事件処理について一部弁護士に、事件勧誘、受任の仕方、法律事務処理に不適切な点があることや、不適切・不当な額の弁護士報酬の請求・受領があることに多くの批判がなされていることにかんがみ、臨時の措置として、債務整理事件の勧誘、受任及び法律事務処理に関して弁護士が遵守すべき事項を定めるとともに、主として過払金返還請求事件における弁護士報酬の額を適正化することを直接の趣旨として定められたものです。

「債務整理事件処理の規律を定める規程」制定までの流れは以下のようなものと説明してある。

平成21年7月17日「債務整理事件処理に関する指針」理事会議決
             ↓
平成22年3月18日「債務整理事件処理に関する指針」改正
             ↓
平成23年2月9日「債務整理事件処理の規律を定める規程」制定



規定が一番重視している一つに、依頼者からのヒアリングの在り方があるが、その規定は以下のような案となっている。


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第○条 相談者からの事情聴取(ヒアリング)に関して

(聴取すべき事項等)
規定 第○条 

弁護士は、債務整理事件を受任するに当たっては、あらかじめ、当該事件を受任する予定の弁護士(複数の弁護士が受任する予淀である場合にあっては少なくともそのうちのいずれか一人を、弁護士法人が受任する予定である場合にあっては当該弁護士法人の社員又は使用人である弁護士のうち少なくともいずれか一人をいう.
。)が、当該債務者と自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取しなければならない。

ただし、面談することに困難な特段の事情があるときは、当該事情がやんだ後遠やかに、自ら面談をして、次に掲げる事項を聴取することで足りる。

一 債務の内容

二 当該債務者(当該債務者と生計を同じくする家族があるときは、当該家族を含む。)の資産、収入、生活費その他の生活状況

三 当該債務者が不動産を所有している場合にあっては、その処理に関する希望

四 前号に掲げるもののほか、当該債務整理事件の処理に関する意向


 弁護士は、前項ただし書に規定する特段の事情がある場合であっても、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段により、又は同居の親族を介するなどして、前項に掲げる事項を把握した上で受任しなければならない。

 この場合においては、当該弁護士が面談して聴取を行う場合と変わらない程度に、当該事項を的確に把握することができるように努める。

3 第一項の面談は、債務者ごとに行わなければならない。

ただし、当該債務整理事件の債務者及び当該債務整理事件に関連する他の債務整理事件の債務者について、その両者と同時に面談することが必要な場合その他特別な事業があるときは、この限りでない。

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以上の条文が、「受任弁護士が事情聴取を行う ということに関しての条文項目だ。

 ○弁護士の個別面談の原則義務化

受任を予定しない弁護士が事情聴取をするというのでは、法律事務遂行における責任の所在が不明確となり、また依頼者から見て誰が責任を持って依頼案件を遂行してくれるのかが不明の状態になることを防止するため、受任弁護士が債務者に自ら個別に面談して事情聴取をすることを、原則として義務付ける趣旨の規定となっている。

メディアの見出しは、この「受任弁護士が債務者に自ら面談して・・」よいう部分に着目している。

  ○ パラリーガル

債務整理系の事務所では、パラリーガルを使っているところが多いが、このパラリーガルの業務の内容に触れて規定している。

パラリーガルとは言わずに、履行補助者となっているが、以下のような考え方に立って、パラリーガルの使用を認めている。

 「事務職員が事情聴取の補助をするのは、「履行補助者」として依頼者からの事情聴取の一部を事務職員等弁護士でない者に行わせることについては、従来から、弁護士の監督のもとにその雇用する事務職員に履行補助者として行わせるのであれば、それ自体としては違法ないし不当な職務執行(さらには委任契約上の義務違反)にはならないと考えられており、本規程でもその基本的な考え方に変更を加えるものはない。

 判例において、履行補助者とは、「法律事務に関する判断の核心部分が法律専門家である弁護士自身によってなされており」、かつ事務職員「の行為が弁護士の判断によって実質的に支配されている」場合をいう(大阪地判平成一.九年二月七日判タ=一六六号三三一頁)とされており、本規程もこのような解釈に立脚している

 仮に事務職員等にいつたん予備的に聴取させたとしても、その後自ら依頼者と面談して個々的に実質的に確認を取ることが求められる。
 要するに、弁護士自身が事情聴取したのと実質的に同視し得るような態様・内実のものである必要があり、その限度で一部について事務職員等に事精聴取の補助をさせることも許容きれると考えられる。


  ○電話などによる受任はどの範囲が許容されるか?

 直接面談が原則と規定されているが、例外となる「面談することに困難な特段の事情」とはどのようなものかについても解説している。
  
     →債務者が遠方にいる場合などは、許容されると解説されている。

 事情聴取する際には、受任する弁護士が直接面談するのが原則。ただし、例外として、「面談することに困難な特段の事情」がある場合が規程に盛り込まれています。どのような場合に「特段の事情」があるといえるかについては、事案により個別具体的に判断されることになりますが、「解説」によると、例えば、債務者が遠方に所在している場合には、交通手段が阻定される程度、債務者の健康・就業状況その他の事情を勘案して個別具体的に判断されるべきとされている。

     →「特段の事情」があり、面談できない場合の面談方法はどのようなものか。

「面談することに困難な特段の事情」としては、債務者が離島に居住している場合などが典型的ですが、離島でなくても、債務者が遠方に所在していて受任に際してあらかじめ面談することが客観的に困難であるといえれば特段の事情が認められると解される。

 どの程度遠方であれば特段の事情ありと言えるかについては、単に距離のみで判断することは相当ではなく、交通手段が限定される程度、債務者の健康・就業状況その他の事情を勘案して個別具体的に判断されるべきこととされている。

 面談できない場合には、面談に代わる適当な手段により第一項各号の事項を把握した上で受任することを要するとされており、その手段としては、電話、書面、ファクシミリ、電子メールその他の適当な通信手段を用いる場合と、同居の親族を介する場合(高齢・病床にある債務者の場合)が例示されている。

    ○債務者の意向の尊重

第一項第四号では、面談において事情聴取すべきこととして「当該債務整理事件の処理に関する意向」が挙げられてる。




以上  債務整理事件処理の規律を定める規程案(日弁連)について その1
2011/01/10

債務整理事件処理の規律を定める規程案

債務整理事件処理の規律を定める規程案が2月の日弁連総会に諮られることとなった。

このブログでも取り上げてきたので経過の詳細は省くが、この議案について聞くところによると、かなり詳細な規定となり、また業界団体による「規制」にならないように注意がはらわれているようになっているということだ。

独禁法との関係に相当注意がはらわれているようだという。いづれにしろ2月の総会で規定が決定されれば明らかになるので、総会の議論を注目したい。

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