2010/12/15

弁護士の直接面談義務化(債務整理処理)について

債務整理処理に関して「弁護士の直接面談を義務化」する方向で日弁連が動いているという件に関して、㈱L-netでは実際の利用者に世論調査を実施した。

その詳細は、すべて ㈱L-netのHPのトップページに掲載し公開した。(12月14日)

この債務整理処理相談経験者へのアンケート調査結果については、どう理解するかはそれぞれの立場によって違うとは思うが、日弁連が公正取引の問題や、利用者の利便性の問題を「向き合わずに」懲戒可能な「強制規定」に実施してしまうやり方が、本当に世論に支持されるかという問題を提起していると思う。

弁護士広告の解禁10年、この間、弁護士へのアクセスは飛躍的にアップし、また消費者もアクセスし安さを受け入れている。

また弁護士側もHPに工夫をしたり、さらにSEO対策を実施したり、広告による「消費者への選択の情報開示」を意識するようになってきている。

一方で、過払い処理などでの依頼者と弁護士トラブルの報道も相次ぎ、依頼者がより慎重に比較して選択する姿勢を取るようになり、弁護士事務所へ出かけて行って「弁護士に直接面談」する人も大きな割り合いを占めてきている。

こうしてみると、市場開放による適正化の流れが、消費者の選択的行動によってなされつつあるわけで、強制的に電話での相談は禁止!というのは、いかにも短絡に思える。もちろんここで「短絡的」というその規程内容案については、例外規定などの詳細はさだかではなく、マスコミの報道を通じて知る範囲の情報ではあるが・・。

いま政治は混乱の極みで、明確なこれからの社会像というビジョンの合意はまったくといってできていないと思われるが、法曹界もそのたぐいの悩みをかかえているのだろうか?こうした懲戒権という業界の強い権限を背景とした、営業活動の行為規制を強行に主張するひともいるだろし、また一方でそのような手段を選択することに反対の人も相当存在して、合意形成が不十分なのではないかとも想像する。

現在の新会長体制執行部が反主流派と言われるが、宇都宮会長が当選当初から債務整理広告規制・報酬規定の斎規定について実現することをNHKのクローズアップ現代で語っていたのは、思いだす関係者は多いと思う。来るべき法曹界や法律サービスにアクセスする国民の利便性などについての議論が少ないまま、今回の報道されている「直接面談の義務化」などが、そのまま現実のものになるとすれば、法治をささえる弁護士業界にしては、議論不足と言われるのではないか?

すこし話はそれるが、毎日新聞ニュースによると、債務整理処理問題に関連した次のような会合があった。日弁連の宇都宮会長も出席されたということだ。

※以下毎日新聞ニュース引用※

先日、岐阜市内で先月「第30回全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会」(全国クレジット・サラ金問題対策協など主催)が開かれた。高金利や多重債務などの問題に取り組んできた弁護士や相談員、被害者団体などが活動を報告する場だ。今年は、改正貸金業法完全施行の節目の年。自殺防止対策や雇用保険など、社会全体のセーフティーネットの充実などで、だれもが希望を持てる社会を目指す宣言を採択した。
・・・・・・・
指針義務化への議論を踏まえ、多重債務者の2次被害防止の観点から、弁護士会・司法書士会による債務整理に関する職務規定などの権限を広く認める法令上の措置を国に求める決議をした。
「以上 引用」

この一番最後にある 弁護士会への権限強化の法令上の措置とは一体なんであろうか?

 この決議文は公開されていたので、全文下記に参考のため記載させてもらう。

が、簡単に筆者が解釈するところでは

 ○ 弁護士広告が被害を生んでいるので、弁護士広告の規制をすべき

 ○ 弁護士会が決めることににさらに強い権限をあたえる法令上の根拠をあたえる

という2点だ。

 この決議文には 非弁提携や不適切な事件受任や実務処理、適切とはいえない弁護士報酬などの問題を指摘しており、その点はマスコミでも取り上げられてきたように、きちんとした個別事務所の対応や、弁護士会の措置なども必要であろうとは思う。

しかし、こうしたことを解決するために、以上の ○ 2つ の結論になるのは、すこし短絡のように思える。

多くの人が知っているように、弁護士会はこれ以上にない、独立した機関であり、また自治の原則を持っている。さらに、自治権を背景に外部から介入されない、会員に対しての懲戒権をもっており、会員でないと弁護士活動はできない。こういった業界組織の執行部に、さらに強い法令上の権限のなにが必要というのだろうか?

ともあれ、引用した決議文は、いまの日弁連新執行部の支持者のなかにこうした考え方の人たちがいるということを示しているものではあろうが。


少なくとも「公正な市場原理を原則」としている日本のなかでの、「法治に携わる多くの弁護士会の会員」の多くが、このような意見をもっているとは思えないのだけれども?


たとえばいま必要なのは、

○ 世論調査をおこなうこと。
弁護士アクセスへの依頼者の意識調査・利便性への考え方にたいする国民の意識調査を行うこと 
弁護士広告への是非についての国民の意識調査をおこなうこと

○ 弁護士アクセスに関することについては、弁護士会内部だけでなく関係機関との合意形成の努力をすること 

○ 独禁法などとの調整をおこなうこと

などではないだろうか?

おそらくこの債務整理事件処理の規律規程案は、現在弁護士会内部で議論が行われていると思われ、集約が行われていると思うが、弁護士会会員の方々の賢明な議論を期待したい。

この規定が議論される日弁連の次回総会は2月に予定されている・・という。


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参考   「第30回全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会」決議文

弁護士・司法書士の「債務整理」による二次被害を根絶するための決議
近年、「借金問題はお任せ」「払い過ぎた利息を取り戻す」などと、多重債務者らに
対して債務整理を勧誘する弁護士及び司法書士の広告をよく見かけるようになった。そ
の中には、新聞広告、折り込みチラシ、公共交通機関、ラジオ、テレビとありとあらゆ
る手段を使っているものもあり、中には全国ネットのテレビCMで顧客を集めているケ
ースもある。
確かに、多重債務者に対して早めの相談を促すこと自体は必要であり、これらの広告
によって、相談窓口の敷居が低くなっているとも言えなくもない。また当然のことなが
ら、広告を出す弁護士・司法書士も直接面談による丹念な聴取に基づく適切な事件処理
を行っていることが多いと思われる。
ところが、広告を見て依頼をした多重債務者等からは「債務整理二次被害」といえる
相談も増加している。
国民生活センターのPIO-NET情報によれば、2009年度の司法書士に対する
苦情は1155件、弁護士については3060件と、広告の増加にともなって苦情件数
も増加し続けている。
また、各地の自治体やクレサラ被害者の会にも多数苦情が寄せられている。苦情の中
身は、広告を見て相談に行った弁護士及び司法書士について、「依頼してから1年以上
の処理の放置」や「事前に説明のなかった費用を請求された」「依頼したきりで、事務
所との連絡がとれなくなってしまった」「そもそも弁護士(司法書士)の名前も知らな
いし、会ったことも電話で話したこともない」といったものである。また、「全ての債
務について相談したのに過払いになりそうなものだけしか受任しない」などの「つまみ
食い」の苦情も目立つ。
言うまでもなく、多重債務者の生活再建のための助力をするのが目的であれば、負債
の内容、財産の状況、生活状況等の丹念な聴取が基本であり、それが行われないでなさ
れる事件処理は、「費用を払ったにもかかわらず、生活再建が図れない」という「二次
被害」を生じる蓋然性の高い「問題処理」と言わざるを得ない。借金問題で苦しんでい
る多重債務者が、「依頼すれば助かる」との思いで弁護士や司法書士に依頼したものの、
「問題処理」によって「二次被害」を与えるというのは、市民の法律実務家の信頼を利
用した悪質な行為と言うべきである。
我々は、基本的に「債務者の生活再建」を主眼とした手続として債務整理及び過払金
返還請求に取り組んできた。そうであるからこそ、全国の自治体と我々は連携して、「多
重債務者の掘り起こし」と同時に、その「法律実務家と連携した救済」に取り組んでき
た。被害者の会は債務者自身が立ち上がり、これまで悪質な消費者金融と戦い、法令の
改正などの運動をしてきた。弁護士及び司法書士による「問題処理」は、我々がこれま
で行ってきた「生活再建のための債務整理」とは全く相容れないものであり、これが今
後も放置されるなら、我々のみならず、各自治体も弁護士や司法書士との連携を続ける
ことは困難となりかねない。
また、弁護士及び司法書士といった法律実務家にとっても、このような「問題処理」
を「1つのビジネスモデル」として放置するのであれば、市民からは「市民に被害を与
える職種」として社会的価値を否定されることになりかねないのであり、この点の解決
は喫緊の課題のはずである。
したがって、「二次被害」を引き起こしている弁護士及び司法書士の「問題処理」の
根絶は、多重債務者の生活再建を目指す立場からは急務である。

以上のことから、私たちは、

① 弁護士会及び司法書士会に対し、それぞれの会が主催する多重債務相談窓口を積極
的に広報するとともに、多重債務者が安心して相談に行けるよう、会主催の相談窓口
については標準的な費用の目安を示すなどの努力を行うこと、
② 国及び各自治体は、自治体の多重債務相談窓口のさらなる拡充と、その相談窓口の
広報をより積極的に行うとともに、相談者に法律実務家を紹介等する場合には、事前
にその法律実務家の報酬基準を相談者に提示したり、依頼の趣旨を事前に法律実務家
に伝達したりするなど、相談者が安心して相談に行けるような工夫を講ずること、
③ 国は、法律実務家の広告による「二次被害」等の増加を踏まえ、法律実務家による
広告の規制強化とともに、弁護士会・司法書士会による会員への債務整理事件処理に
関する職務規程や広告規制についての権限を、多重債務者の二次被害防止、経済的弱
者の権利保障という観点から広く認めるような法令上の措置をとること
を求める。

2010年11月28日
全国クレサラ・ヤミ金被害者交流集会参加者一同
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