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2009/11/23

地方弁護士会の広告拡大

地方弁護士会広告の拡大

弁護士司法書士の一部で広告で集客して、多重債務処理を巡ってトラブルが起きていると言われる問題を背景にして、弁護士業界内で広告規制や、事務所を設置していない地方での広告の問題などについての議論が弁護士業界内で続いていると見受けられる。

こんななか、新たに 愛知県弁護士会・岡山県弁護士会がTVCMを放送している。

長い広告規制の歴史を超えて、広告解禁へと歩んだ業界であり、首都圏や関西の弁護士司法書士の事務所の広告に対抗して、同じ広告手段を通じて、エリアの依頼者発掘を行おうという試みだけに、まっとうに評価したい。

おそらく、想像するに単位弁護士会の中でも 貴重な「安くない」弁護士会費の中から一瞬にして「泡」のように消えるとも思えるTV広告に出費することには議論があったと思われる。

しかし、広告による依頼者の知る機会拡大の流れは、不可逆であって、こうした広告の競争が、結果依頼者に選択の幅を与えることになるのであるから、本筋を見据えた取り組みだと思う。

限られた情報だが単位弁護士会のTVCMは福岡弁護士会が一番早かった。

そのほか 現在実施しているどうかは別として実施弁護士会は、大阪・仙台(20年夏)山形(20年)札幌(ラジオ?)名古屋 岡山
こんなところだろうか?

ちなみに、愛知弁護士会のTVCMのナレーション内容は、「地元の相談は地元の弁護士に」 を強調している。

愛知県弁護士会のHPによると今年11月中旬より 東海地方各局で15秒TVスポットを放映している。
県内10か所の 法律相談センターへ依頼者を誘導するというものだ。

HPに UPされている TVCMのコメントは次のようなものだ。

http://www.aiben.jp/page/frombars/topics2/414tvcm.html


  私たちもう距離を置きましょ

  え なんで?

  400年間堪えてきたの

  (カラスの鳴き声)

   そんなとき   地元のトラブル 地元の弁護士が解決します。」

名古屋の鯱鉾の離婚相談と見受けられ、ご当地色が強い。エリア外からの市場参入者を強く意識した内容となっている。

地元の依頼者にとっては、地元の弁護士へのアプローチが増えるきっかけになるだろう。

このような広告競争を弁護士は、どのように見ているだろうか?

気がついた弁護士のブログから、勝手ではあるが引用したい。

福岡若手弁護士のブログ
http://ameblo.jp/fben/entry-10149665696.html#main

1年前の話ではあるが、河北新報が伝えた記事に対するブログコメントだ、若手弁護士は広告解禁の流れを受け止めそれに正面から対応べきだと言っている。

こうした声が少しづつ多数派になって来ているのではないか。 そんなことを考えさせる、昨今の動きだ。



■首都圏の弁護士と仙台弁護士会が対立

・・・福岡でも他人事ではありません。
 が、利用者になろうと人に言わせれば「じゃあ、地元の弁護士会はどれだけ相談喚起のための契機になる広告を打ってくれてるの?広告を頻繁に目に留まらせてくれる人たちが悪いというなら、自分たちも広告を頻繁に目を留まらせないと辿りつけないじゃないの?」と批判されるだろう。

 つまり「楽に報酬を得ようとする手法が透けて見える」という批判が正鵠を得ているとしても、広告を

頻繁に出そうとする首都圏組の行動そのものを規制する根拠としては、一般市民の理解は到底得られないのじゃないか。

 福岡県弁ではTVCMを何度か打っているが、正直CMに接する回数が(首都圏事務所名)に比べて少なすぎる。

地方弁護士会として対応を練りたいのなら、TVCMを頻繁に出すための臨時会費を一時的に徴収することも検討したうえで、首都圏組に対して地方弁護士会が放置するのか否か決めたほうがよいのではないか。

2008-11-02  (首都圏事務所名)は特定の事務所名を匿名に変えました。


参考 このコメントの題材となった記事

需要開拓×利益優先 首都圏の弁護士進出 仙台
11月2日6時13分配信 河北新報  の要約です。

 「消費者金融の過払い債務者らからの相談や受任方法などをめぐり、首都圏と仙台など地元の弁護士との間で対立の溝が深まっている。首都圏の弁護士は法律相談やテレビやラジオのCMなどを使って、地方の債務者の掘り起こしに懸命だ。首都圏弁護士の進出に、地元組からは「手軽で利益につながる仕事だけを引き受けることにつながり、倫理上、望ましくない」との声も上がっている。

 東京のA法律特許事務所は10月、仙台市で、過払い金の返還請求を柱とした法律相談を開いた。担当の弁護士が、多重債務などに悩む県内の約20人の相談に応じた。同事務所は相談開催前に、宮城県内でラジオCMを流したほか、新聞折り込みで約15万枚のチラシを配り、相談者を広く募った。

 東京の法律事務所Bは7月から、過払い金返還や任意整理などの手続きを受け付けるテレビCMを、東北地方で流し始めた。同事務所は「東北は全体的に弁護士過疎で、債務整理の需要もある。CMで困っている人の需要を掘り起こしたい」と強調する。

 こうした動きに、宮城県内で多重債務者らを支援する「みやぎ青葉の会」は10月中旬、東京の法律事務所に、県内での法律相談をやめるよう要請文を送った。地元に事務所がないと、費用対効果を優先させて勝てる訴訟だけを弁護するケースが増えると懸念したためだ。・・・・」

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2009/11/20

銀座の居酒屋

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銀座の昭和通り沿いに 小鼓という店がある。

小鼓は 丹波の蔵元 西山酒造の酒の名前だ。 この店は蔵元が51年前に始めたという。

http://www.kotsuzumi.co.jp/  (西山酒造のHP)

小鼓はきれいな吟醸酒で有名で、高浜虚子が逗留したことでも知られる。

白木のカウンターも、年季を感じさせる。

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高浜虚子の直筆

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蔵元は食器道楽でもあったらしい

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なかなか風格のある居酒屋だ

2009/11/19

改正貸金業法の行方

改正貸金業法の完全実施 延期 ならびに 見直しの議論が水面下で動いている。

金融庁内部では、中小の事業者の資金繰り問題の深刻化への懸念が、テーマという。確かに、事業者と個人を一本化している現在の貸金業法では、この問題が起きることは予想されていたという。

改正貸金業法の問題点としては、この事業者と個人が同じスキームだという点のほかに、総量規制との関係で、専業主婦が事実上 自分で借りれなkなるなどの点が指摘されている。

消費生活評論家 岩田昭男氏の 「あなたに貸す金はない!」(アスキー新書)は、改正貸金業法の問題点や、来るべき「信用力格差社会」を指摘していて、わかりやすい。
CIMG1177.jpg

しかし、11最初の金融庁の「改正貸金業法検討会議」設置が一部メディアで報じられたが、おそらく経済情勢との関係では、事業主スキームの見直しが最大の焦点のような気がする。

ところで、こうした動きを受けて、改正貸金業の完全実施を求める国会議員会館内の集会が11月12日に行われたということだ。

主催は 日弁連。
2009.11.15 発行の 全国クレジット・サラ金問題対策協議会機関紙にその模様が掲載されているので、内容をそのまま引用させてもらう。



☆改正貸金業法の早期完全施行を 院内集会 あふれる会場
 日本弁護士連合会が12日午後5時30分から衆議院第一議員会館で開いた「改正貸金業法の早期完全施行を求める院内集会」には、定員を超す70人が詰めかけた。日弁連からの「多重債務問題の現状と報告」、高金利被害者からの報告、意見交換などに続き、日弁連多重債務対策本部本部長代行の宇都宮健児弁護士から「改正貸金業法早期完全施行に向けての提言」がなされた。政府が改正貸金業法完全施行について「見直し」を検討するなどとの報道がなされた直後だけに、会場は「なんとしても改正貸金業法を完全施行させなければならない」との声と熱気にあふれた。
 挨拶に立った、横粂勝仁議員(民主)は「政治として責任を持って完全施行しなければならない。(高金利被害により自殺した報告を聞いて)政治の殺人だと思う。1人1人を救っていく政治をしなければならない」と決意を示した。大門実紀史議員(共産)は「来週の委員会で質問をすると予告したら、もう『完全施行はします』との答弁(案)が来た」と会場の笑いを誘いつつ、「日経など一部のマスコミと一部の議員が合作して工作を始めた。早いうちに叩きつぶした方がよい。大臣が(完全施行すると委員会で)答弁する以上、法律を変えるという見直しはないだろうが運用上の措置の危険性がある。金融庁政務三役で検討することになるだろうが、副大臣は常識的、大臣はおおむね常識的、問題は(田村謙次)政務官。金融庁には有識者会議もあり、そこで検討していく必要がある」と状況分析した。郡和子議員(民主)は「自殺した人の話を聞いて、涙がこみ上げてきた。逆行する流れにはならないと思う。政務官には注意をしておく」と語った。また、前川きよしげ議員(民主)、川崎稔議員(民主)、山花郁夫議員(民主)、岩永浩美議員(自民)、森まさこ議員(自民)の秘書が代理出席した。
 宇都宮健児弁護士は「高利貸はさっさと市場から退場させるべき。それに変えてセーフティネットを充実させなければならない。後退させる政治の動きは絶対に許せない。厳しく政権にカツを入れなければならない」と集会を締めくくった。」


日弁連は改正貸金業法の完全施工を求める会長声明を再度この日に発表しているが、
なるほどという内容ではある。しかし、中小企業の資金繰りへの影響についてはつぎのように触れて否定している。

「資金繰り悪化の原因は、販売不振・在庫調整の長期化等の営業要因、金融機関の融資態度・融資条件、セーフティネット貸付・保証等の信用保証協会や政府系金融機関等の対応で98.4%を占め、改正貸金業法施行の影響等のノンバンクの融資態度・動向では1.5%という結果に過ぎず、貸金業法改正の影響はほとんどない。」

この点が本当かどうか?

金融行政への影響と完全実施にともなう中小企業者への影響について、専門家ではないのでわからないが、この辺詳しい人に聞いてみたい・

※ 関連参考記事

消費者金融、厳しい中間決算 融資厳格化で減収 改正貸金業法…経営圧迫も

11月6日7時57分配信 産経新聞
 消費者金融大手3社の平成21年9月中間連結決算が5日、出そろった。来年6月までに完全実施される改正貸金業法の規制強化を先取りする形で融資を厳格に行った結果、各社とも貸付残高が減って軒並み減収となった。また、顧客が過去に払いすぎた利息の返還を求める「過払い利息返還請求」も相変わらず多く、利益を圧迫。アコムが約550人の希望退職者募集を打ち出すなど、各社はコスト削減に躍起だ。

                   ◇

 決算では、引当金を取り崩して増益を確保した武富士を除き、プロミスもアコムも減収減益となり、業界の置かれた苦しい状況が浮き彫りになった。11日に決算を発表するアイフルも私的整理(事業再生ADR)の手続きを進める。

 利益を圧迫する最大の要因が、最近、増加している過払い利息返還請求で、9月中間期の返還額はプロミスが460億円、アコムが739億円、武富士が548億円に上った。アコムの木下盛好社長は「利息返還は依然として高止まりの状況だ」と語り、希望退職のほか、有人店舗を118店から45店に半減するなどのリストラ策を打ち出した。

 さらに今後の経営を圧迫しそうなのが、改正貸金業法の完全実施だ。この中には、借入額を年収の3分の1以内に制限する総量規制なども盛り込まれ、利用者の半数が総量規制に抵触するとの試算もある。このため借りられなくなった人が再び「返還請求に回る可能性もある」(久保健プロミス社長)といわれる。

 もともと改正貸金業法は多重債務問題などの解消に向けた規制強化だが、中小・零細企業の資金繰りを悪化させるとの声もあり、政府内では完全実施前に見直し論も浮上。アコムの木下社長は「(総量規制で)新たな借り入れができなくなれば、経済に大きな影響を与えるということで議論してほしい」と期待を寄せた。

最終更新:11月6日7時57分

産経新聞
2009/11/18

弁護士広告の行方② 多重債務処理トラブルと 広告

弁護士広告の行方

11月のはじめに、一部トラブルの多発で、「日弁連が多重債務処理の実態調査を始めたというも一部報道された」のは、前回のぶろぐに書かせてもらった。

その調査表の内容を見ると

最初に、7月に公表した ガイドラインなるものの 「直接面談」の有無を聞いている。

そのほか 職務規定に準じるものだが 最後にその 弁護士事務所に何の「広告」で知ったか?

その広告の内容と 依頼者が感じた事務所の法律相談内容に違いがあったか。あったのはどこかと聞いている。。

公表された、実態調査の調査内容を見る限りは、ガイドラインに「議論があるなか」盛り込んだ、異例の直接面談が望ましい、という事柄が、あなたは弁護士と直接会いましたか?と聞いている。

直接面談を弁護士「職務規定」に盛り込むことも言及したことを報じたメディアもあった。

また、最後に 「広告内容に齟齬はあったか?」という質問となっている。

広告をして弁護士が直接面談しなかったケースで、多重債務処理に不満のある人への調査だから、広告の内容に齟齬があったという回答を一定に想定したような、質問の組み立てになっている。


このところ各地で行われたとの報道のあった「都心の広告事務所の2次被害調査」が、この側面サポートをするとみるのが順当だろう。

クレジットサラ金被害者の会は、長い間 闇金融やサラ金の高利問題と闘ってきた歴史がある。その歴の延長に、貸金業法の改正もあると言っていいだろう。

しかし、経済原理的に見れば、今回の問題は別の側面を指摘する向きもある。

営業登録制度で、監督官庁が業界団体であるという極めて珍しい業態の弁護士会の経済単位は、単位弁護士会だ。つまり、地域だ。

弁護士の活動のエリアは、ほぼそれぞれが所属する弁護士会という地域に限定されていたという。

「広告」は普遍的なものだ。 「地域」を超える。

弁護士会の広告緩和の折に設けられた弁護士会広告基準を見る限り、弁護士会がこの点を議論したかどうかはよくわからない。

むしろ、地域での看板や新聞広告 チラシ広告などを想定したもののようにも思える。

しかし、電波広告 WEB広告の特徴は、地域格差のない普遍性だ。 

この広告の特性によって、別の単位弁護士会依頼者が、遠く離れた弁護士事務所に依頼するという状態が起きた。このことは、経済秩序の変革を迫る事態だ・・。

つまり、いろんな意味で 広告による 「変化」と 既存経済秩序保持との衝突の側面があることだ。

もちろん、繰り返し指摘しているように、一部事務所に クレーム問題があるのも事実という。しかしこの問題は、個別の「職務規定」違反の有無の問題としてとらえるべきであって、「広告事務所の業態」の問題としてとらえるべきではないのではないか。そのためにこそ、調査や懲戒の制度があるのではないか?と外部のものには思えるがどうだろう。

法曹界 弁護士界が、広告という告知で法律サービスを依頼者に選択してもらうという道をいったん開いた以上、戻ることはできないのではないか?

もしこの逆流があったなら、国策としての法科大学院に待機中の法曹会予備軍はどう仕事を選択するのか?
彼らは新しい時代に競争の感覚で法曹会に出たいと思っている人たちも多いのではないか?
やはり、いままでのすこしづつ開いてきた、規制緩和の流れ、そのなかの広告という情報告知、一定の競争、こういったものの延長戦にあるべき姿を考えるべきではないか?

外部の人間で門外漢なので、間違っているかもしれないが、関係者にぜひとも意見を聞いてみたい。


2009/11/11

弁護士司法書士広告の行方

<span style="font-size:large;">読売新聞夕刊11月4日 の文化欄 ラジオテレビ担当 が 核心をつく記事を書いている。
ET20091104153035150L0 読売新聞 ラジオテレビ


この記事の趣旨は、TVの法律事務所CMが関東地区で始まったのが昨年4月で東京で始まって、タイム・スポットCMの合計が急速に伸びている。その背景は、2001年の広告が解禁され弁護士・司法書士競争が激化してきたと指摘している。

法律事務所の広告の最初は、東京での地下鉄広告だが、これにより多重債務整理広告が始まった。

法律事務所テレビ広告の前に ラジオ広告の前史があり、2005年9月に関東エリアの 文化放送、 10月に、ニッポン放送が現在のスタイルのレスポンス勧誘型スポット広告を始めた。

このラジオ広告は弊社のクライアントの大型多重債務事務所がおこなったものだが、ラジオスポットの勧誘効果にはすぐれたものがあり、ラジオから聞いた人のレスポンスが伸びていった。
その後このクライアントのラジオ広告は地方局20局以上に広がっていく。

テレビが始まったのも、この法律事務所で、2007年夏から放送を地方で開始している。
鹿児島・福岡・広島・静岡・北海道などのローカルエリアで、これも現在のTVスポットのスタイルとなった、多重債務レスポンス勧誘型だった。

この広告動向に対して注目したのが、新規クライアントを探していた広告業界だった。おりしもインターネット広告が伸びてラジオ広告が低迷し、また新規の広告クライアントを探しあぐねていた時代であったため、広告代理店の目が法律事務所・司法書士事務所に向けられるいようになり、熱心な勧誘がスタートした。 

2007年末には その後の多重債務「過払いブーム」を決定つけるような 最高裁判所判決が出され、広告代理店・媒体に促され、司法界の広告ブームがスタートする。

この読売新聞の記事の表にある2008年8月には、東京の司法書士事務所が関東局で、大型予算をかけたスポットを流して、関係者を驚かせた。

このように、法律事務所・司法書士事務所の広告の急増の背景は4つある。

① 大量に存在する 多重債務者
② グレーゾーン金利撤廃・貸金業法改正
③ 最高裁判決 → 過払い請求 任意整理
④ 弁護士人口増加 司法書士との競争激化



その後は現在まで、表のような広告ブームが続いているが、そのブームも今は少し落ち着いてきているように思う。

読売新聞の記事でも触れているが、今後の弁護士・司法書士広告の行方を決めるのは、事務所ごとの「商品の品質」であろう。

今後のこの広告市場の行方を占うのは、弁護士・司法書士のコンプライアンスだと思う。今更のように、司法界にコンプライアンスというのも、どうかと思うが、やはり、何事も急増と合わせて歪みが生ずる向きもある。

この弁護士・司法書士広告の流れに一定の影響を与えているのが、2009年7月の日弁連の 「多重債務処理のガイドライン」ではないか。 
「多重債務処理にあたって当然守るべきと「思慮」されることを述べたもの 」で、 「直接面談(依頼者と直接会って聞く)」をすることなどを文言を入れたのが特徴だ。
ブログ情報などによると当然内部でも議論があって、「都心の広告事務所が地方に仕事を取りに来る」という危機感と、それに対する防衛策という動機もうかがわれるものではあった。

しかしながら、弁護士業界の決まり事のレベルにまで、「多重債務整理は直接面談が必要」とするのは、業務の個々の工夫を業界が決めるというのは独占禁止法との関係で「無理筋」との話が未解決だったのだろうか、結局きまりなのか、心がけるべき努力目標なのかはっきりしないと見るむきも多い。

しかし、このガイドラインが 発表されると、新聞が何社か取り上げた。
「多重債務整理・依頼者とのトラブル急増」との記事が表面にでた、初めてのことだ。

確かに一部事務所に依頼者とのトラブルがあるのは間違いがない。

へんないい方だが、初めて「広告ってこんなにお客がくるのか」と気がついたクライアントが、まだまだ・・・といって大量に事件を抱えてしまった結果のようだ。折からの広告費減のなかでの、媒体や広告代理店の熱心な働き掛けも見逃せない。

当然次から次へと引き受けた結果、依頼者への連絡も疎くなるし、この間サラ金業界の体力が落ちているから 時間をかけているうちに、どんどん解決も相対的に簡単でなくなるはずだし、「和解レベル」も下がってくるはずだ。

案件を抱えれば抱えるほど「依頼者とのトラブル」につながりかねないことはサービス業の常識と言っていい・・。

規制緩和という「経済の流れ」だけからみると、弁護士業界の体質は、業界で「懲戒制度」を抱え、弁護士業務を展開拡大する、あるいは法人化し支店を展開するという面を見ても、「ある種の特殊な業界の決まり」と言われるような側面がある。
もちろん、権力からの自立・人権擁護は大切なことだと思うし、そのような弁護士もたくさん存在する。一方で、あくまでも経済的側面からみると、かつての弁護士業界は「みんなバッジをつけたら、みんなで渡ろう」という世界であったことは、弁護士の人はみな知っているし、必ず当事者も関係者も指摘する。

広告が解禁されたがしばらくは大きな動きがなかっったが、折からの多重債務問題と電波媒体広告がこれに火をつけた。その方向を試みた人たちの理念としては、「競争によって安くいいものを!」という「業界変革」ではなかったのか?

マーケットの世界で大切なのは、消費者・依頼者だ。このことは多くのクライアント身にしみて知ってきた。

これまでの、紹介者を通じて依頼者を獲得する時代にもトラブルもあっただろう。しかしそのような時代には、「紹介者」を通じて大半のトラブルは解決できる。
広告による不特定多数の人へのアプローチは当然のことながら、クライアントである法律事務所を「消費者」という「怖い存在」に直面させた。

これが当たり前の どんな会社であれ、サービス商品を諸費者に販売するときに苦労するところだ。どの業界もお客様からの苦情・指摘に対応することに力を入れてきた。

広告はお客を集める手段でもあるが、「広告を打つ責任を自らに課していく必要がある」営業手段でもある。

ある東京の放送局に最近聴取者から電話がかかってきた。

「広告で電話をかけたら、タライ回しの挙句、「こっちも忙しい。法律事務所はたくさんあるのでよそに電話してくれ」と言われた。あんたのとことの放送を聞いて電話したのに・・・。責任もって放送してほしい!」というものだ・・。

「広告をうつ責任」 

この点について新しいクライアントとして経験も不足していただろうし、 また一部には、自覚がたらなかったのではないだろうか。

その結果、消費者・依頼者からのトラブルという問題が起きてきて、ひとつの社会現象のようにフレームアップされていく・・・・

この点に関して言えば、広告代理店の行動様式も見逃せない。

かつて消費者金融CMがテレビにあふれたとき、広告代理店は、どんどん売った。しかも電波料金は「定価に近い」料金だったので、テレビ局にとってもおいしい商売だった。
その結果、町にはATM端末があふれ、その後の多重債務問題が起きてくる・・。

やはり、代理店業界も目先の利益ではなく、クライアントが適正に育つという観点を持つべきではないのか。一部の動きをみていると、また再びという感がぬぐえない。

10月末から新たな動きが始まっている。
四国新聞に11月1日付けの記事が象徴的なので、紹介しよう。


債務整理めぐり都心弁護士らへの苦情が続発

2009/11/01 09:52

 消費者金融への過払い金返還請求が増加する中、「債務整理引き受けます」などとうたった首都圏の弁護士事務所などへの苦情が、全国のサラ金被害者団体に相次いでいる。「報酬を払ったのに処理してくれない」「取り戻した過払い金を払ってくれない」といった内容で、多重債務者らを支援する「高松あすなろの会」にも数件の相談が寄せられている。同会では2~4日に無料相談窓口を設け、悪質な事案の把握に努める。

 全国クレサラ被害者連絡協議会によると、最近、東京や大阪の弁護士、司法書士事務所が、債務整理に関するテレビCMなどを地方でも流すようになった。しかし、報酬の見込める過払い金回収のみ扱い、自己破産やヤミ金事件の相談に応じないなど、対応に問題のある事務所があるという。

 中には悪質なケースも。あすなろの会によると、県内の女性は一昨年、東京の司法書士事務所に債務整理を依頼。20万円以上の費用を支払ったが、1年以上放置され続けた。東京の弁護士事務所に相談した男性は、消費者金融数社と和解が成立していたにもかかわらず、知らされずに報酬などを支払わされていた。

 同会の鍋谷健一事務局長は「債務者は専門家に相談すれば救われると考えており、被害に気付きにくい。少しでもおかしいと感じれば相談を」と呼び掛けている。相談は午前10時~午後4時。電話か面談で、多重債務に関する相談も受け付ける。希望者は同会<087(897)3211>。
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/article.aspx?id=20091101000060





全国クレサラ金被害者協議会は歴史が古く、被害者の会をつくって多重債務者の救済にあたってきた。全国組織で各地の大きな総合事務所に事務局長を置いて、活動を続け、大型訴訟もおこなっている。

上記のような、クレジットサラ金被害者協議会の「都心弁護士 被害相談」 が、組織的に全国で行われ、それを洗い出して実態調査をするということだ。

ここで一点だけ指摘しておくと、
この「クレサラ協議会」 と 「都心の広告弁護士」は、 「経済的な側面」のみからみるとライバルとなるようだ。

 ①債務問題を専門にあつかう事務員の存在

 ②それまで、多重債務はクレサラ協議会が大きな受け皿として実績を残してきている。そこに広告を携えて現れた「都心弁護士」は「あらたな市場参入者」であること

この2点だ。

またこの報じられた実態調査と合わせて、日本弁護士連合会が11月4日 同じく実態調査を表明した。


債務処理苦情で弁護士の実態調査 日弁連、指針改定も検討 (共同通信)

 過払い金返還などの債務整理事件で弁護士への苦情が増えているのを受け、日弁連は4日、債務者の意向を十分尊重し処理に当たることなどを弁護士に求めた指針が守られているかどうかの実態調査を実施すると発表した。
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009110401000711.html

共同通信11月4日
 日弁連は、相次ぐトラブルへの善後策として7月に指針を作成したが、その後も苦情が寄せられていることから、調査が必要と判断。指針の改定のほか、違反すると懲戒理由となる「職務基本規定」にする必要性などについて検討する。

 調査は来月中旬まで各地の弁護士会を通じ実施。弁護士会や消費生活センターに寄せられた苦情などを基に、(1)弁護士と直接面談したか(2)債務者に速やかに報告したか(3)過払い金返還請求だけを処理し、残る債務整理はしないといった対応があったか―などについて調べる。

 日弁連の多重債務対策本部長代行の宇都宮健児弁護士は「より厳しい措置が必要との意見もあり、検討のためのデータを集めたい」としている。




ここに出てくる宇都宮弁護士は、人権派として知られ法曹界で有名な方だが、先のガイドラインを主導してきたひとと言われ文字色、またほかの弁護士が見向きもしない時代から、多重債務もんだいなどに取り組んできたひとだ。

この宇都宮弁護士が、宮崎現日弁連会長の任期満了に伴い会長選挙に立候補する。

前回2008年2月の会長選挙では、裁判員制度反対 弁護士大幅増員反対を唱えた高山俊吉弁護士が予想外の7000票を超える票を集めて、90402票の宮崎弁護士に迫っており、宇都宮弁護士日弁連会長の実現も、弁護士会のなかでは取りざたされている。

こうして全体の流れをみていると、弁護士広告というものが、弁護士業界のなかで大きな考え方・あるいは既得の仕事の仕組みの変化をもたらすものとして生まれ、矛盾を激化し、また動きが出ているのがわかるようだ。

消費者の立場から言うと、広告は 「告知」であり、知的なサービスを商品としてビジネスをする人はとりわけ、誰がどんな考え方でのビジネスをやっているのかを知らせるのは、「当然」の時代になっている。

おそらく、上記の調査を踏まえた新たな動き、広告規制に対する論議 など 当面この問題は揺れ動く可能性もある。

しかし、最終的には、業界がどうであろうと、広告のクリエイティブがどうであろうと、消費者・依頼者がその法律サービス商品を信頼し・安心して購入するかどうか・・、これによってすべてが決まってくるように思える。



2009/11/01

貸金業法改正緩和検討か?

11月1日 今日の時事通信 日経ネットが 貸金業法の緩和方向の検討が始まりそうなことを伝えた。


小口無担保融資の世界から締め出される大量の人たち

○信用情報で格差をつけられ借りることができなくなる人たち

○年収のあるなし、多い少ないで 格差がつく人たち 借りることができなくなる人たち

もともと多重債務者をなくするために、法を改正して貸金業に対してかなり厳しくして、年収規制なども入れて実施方向であったが、一方で、これらの制度がないとやっていけそうにないひとや、それなら一定に金融の流れの一部を支えていたものを、一度に締め上げることには論議があった。

もちろん、新政権の民主党が貸金業会よりというわけではないだろうが、こうまで早くこの議論を政府内で浮上させざるえなかったのは、このままいくと混乱必至とみる意見が通ったのではないか。

おそらく、景気悪化と 資金繰りの問題もあるが、専業主婦がだんなの承諾が必要になることや、なによりも制度について理解が浸透せず、借金難民(借りたくても借りることのできない人)が増えることなどに配慮せざる得なかったということではないか

日経の記事の見出しは
貸金業規制の緩和検討 政府、事業主の資金繰り配慮

 「
「政府は消費者金融など貸金業向けに強化してきた規制を緩和する方向で検討する。金融危機などの影響で個人事業主の資金繰りが悪化していることを重視。無担保ローンの貸し付けを年収の3分の1以下に抑える「総量規制」の妥当性や、ルールの変更の影響を小さくする「激変緩和措置」の導入の是非などを議論する。

 金融庁、消費者庁、法務省など関係省庁の閣僚・副大臣・政務官の「政務三役」で構成する検討会議を11月中にも設置する。政府関係者は「検討結果によっては改正貸金業法の規制強化策を当面凍結することも排除しない」と話しており、同法の再改正も視野に入れて議論する見通だ。(18:33)」



この議論の後押しをするのが、改正貸金業法に対しての国民の理解が不足しているというデータだ。

日本貸金業協会が繰り返しこの点は、アンケートなどを出している。
確かに ㈱L-netでアンケートをしても、ここまでではないが、総量規制について知らない人の割合も一定にいた。
先月末の貸金業協会の十万人アンケートは、今回の政府検討と連動しているのかも知れない。

「10月27日 日経ネット
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091027AT2C2600G26102009.html

改正貸金業法の「総量規制」、利用者の6割知らず

 来年6月までに全面施行される改正貸金業法の「総量規制」について、ノンバンクの利用者の6割近くが知らないことが日本貸金業協会のアンケート調査でわかった。年収の3分の1を超える貸し付けを禁止する規制で、借り入れの際に混乱が生じる可能性がある。

 アンケートは約10万6千人を対象に、今年の8月から9月にかけて実施した。借り入れがある1000人のうち、総量規制を理解している利用者は42.8%。昨年11月の前回調査より約28ポイント上昇したものの、なお半数に満たない。

 消費者金融の借入残高がある4064人のうち、実際に年収の3分の1以上のお金を借りている利用者は50.2%。こうした利用者は追加の借り入れができなくなる可能性がある。(01:30)」

ともかく、民主党政権は業界よりと誤解されることを極端に嫌うから、今回の報道は一部リークによる観測気球ではないか?
すでに ブログの一部に 民主党は貸金業会よりなの?との記事がある。

いづれにしろこの問題、曲折が予想される。

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