2012/05/14

債務整理「市場」の縮小と弁護士広告

弁護士広告を意識して実施している法律事務所の数は、統計がないので不明だが、ホームページを集客の手段と位置付けている作製の仕方をする事務所だけでも、100のけたでどんどん増加してように思える。

こうした広告の拡大をもたらしたものは、最大のものは弁護士会の広告解禁だが、市場としての要因は、弁護士広告を可能にした多重債務の整理、特に「過払い」という「市場」だった。

このところ、多重債務者は急速に減少し、消費者金融の数や業績も急降下して、まちがいなく「市場」が狭まっていると言われている。

こうしたなかで、弁護士広告の今後はどうなるのかというと問いをうけることがある。

結論は不明というしかないが、●相変わらずの非弁提携問題 と ●地方弁護士会のTVCMの質の向上という二つの問題について触れてみよう。

市場としての弁護士業界のことを意欲的に取り上げている週間ダイヤモンドが、最近弁護士の非弁提携の問題を消費者金融業者が懲戒請求したという記事を取り上げている。

① 相変わらずの非弁提携問題

アイフルが弁護士懲戒請求を提出 弁護士が多重債務者を食い物に!

概要そのものは、古典的手口と記事中の弁護士が解説している。

このような手口が続くのは、過払いの「市場」が縮小していることが背景にあるとみていい。

● (産経新聞5月12日)東北財務局がまとめた平成23年度の多重債務相談の受け付け状況によると、東北
6県の相談者総数は308人で、ほぼ4人に1人の71人が東日本大震災関連の相談
だったことが11日、分かった。震災で家や財産、職を失い多重債務をどう返済して
いいか分からないという深刻な相談が多くを占めている。
 相談者総数は前年度同期に比べ、463人も減少した。一方で、新たに震災関連で
多重債務を返済する困難さを訴える相談は、青森28人、宮城19人、福島14人、
秋田6人、岩手3人、山形1人の計71人と全体の23%を占めている。

●(デーリー東北5月10日)財務省青森財務事務所が2011年度に受けた多重債務の相談件数は109件で、10年度の232件から半減したことが10日、分かった。

こうした「市場」の縮小と、生き残りをかけた消費者金融の努力をダイヤモンドは指摘しているのだと思う。 

② 地方弁護士会のテレビCM

一方で、債務整理の仕事量の拡大は、弁護士広告を急速に拡大させてが、その結果弁護士広告の質がどんどん良くなってきているように思う。
ここでは テレビについて紹介しよう。

福岡県弁護士会 相続問題テレビCM
 福岡弁護士会は、テレビ広告を早くから始めたことでも有名だ。このテレビCMはゆったりとした気分の2人の老夫婦が、最後の贈り物について語るという設定だが、ふつうは 争いをさけるためとか、一刻も早くとかいうコンテンツになるところをあえて避けて表現して、がつがつしないCMに仕上がっているように感じる。


大阪弁護士会のテレビCM
 これらのCMには弁護士会の会員の中からはいろんな意見があろうと想像できるが、以前のものより個人的にはよくできていると思う。

札幌弁護士会法律相談センターTVCMが広告協会奨励賞(2011年7月
少し旧聞だが、地元広告協会のCM奨励賞を、札幌の弁護士会が制作した広告が受賞している。
札幌弁護士会のテレビCM

債務整理「市場」の縮小と、広告は一見何の関係もなく見えるが、実は広告はどの市場でもそうであるように、営業のツールであり、商品説明の王道だ。

これまでの記事でも取り上げてきたが、弁護士会の表現規制の方向はWEB関係を細かくみていこうとしているようだが、この短い2年程度の間に、弁護士業界の広告は確実にその広告手法が、向上してるということが言えると思う。 

こんご広告屋からみた弁護士業界の姿は、ゾウの足でしかないが、どんどん市場原理が進行しるのではないか、市場原理の進行の是非の議論にかかわず、そのことが進行し、他の業界がそうであるように、ブランド力を残すとこが生き残り、その反映としての広告表現はますます洗練されていくのではないだろうか?
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2012/04/15

新弁護士広告指針にかんしての議論について

新弁護士広告指針(今年3月)を日弁連理事会が定めた。
新弁護士広告指針
このところ、WEB広告を中心に、表現上の問題で、表現が独り歩きしたり、誇大・誇張と思われるような表現が見受けられるようになり、WEB集客を外部WEB会社に委託し、また弁護士紹介サイトが独自にたくさんの費用をかけて、依頼者を呼び込むような形態が昨年から目立ってきた。とくに多重債務系にその傾向がつよかったが、今年に入って、後者の傾向は薄れているようだ。

ともかく今回の指針の考え方は、こうしたWEB広告競争に一定の制限を設けようとしたことが狙いとみられる。

弁護士広告に関しては、解禁時に一定の制限を設けており、その制限が独占禁止法の兼ね合いで、議論になってきた経緯がある。

公正取引委員会は弁護士会も事業者団体にあたり、以下の考え方・指針が適用されるとしている。

資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方

事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針

今回の新指針は、業務広告をより適正化することを目的に、具体的な表現事例などにまで踏み込んで指針を示したものだと受け止められている。

弁護士の中や関係者のなかで、現在の広告問題についての議論の一端を探った。


●大阪の弁護士はブログの中で、公正取引委員会と弁護士広告規制に温度差を感じると指摘している(24年4月3日)

大阪の弁護士~弁護士の広告規制と公取の指針・考え方

  以下ブログから引用部分

「公正かつ自由な競争を促進する競争政策について,
 ・公取の「指針」「考え方」
 ・弁護士会の規制の背景にある考え方
の間に,大きな温度差・隔たりを感じるのは,私だけではないだろう。

平成12年の広告解禁後も,弁護士の広告に関するルールは,試行錯誤の過程にあるように思われる。

弁護士業界における「公正かつ自由な競争」について,考え方に大きな幅や差異があり,同業者団体による同業者への規制のあり方についても,コンセンサスが得られていないことが,背景にあるように感じられる。」


●依頼者の利益になるのかどうか?単なる弁護士の努力不足ということではなく、健全な競争が行われなくなった場合、依頼者の損失にかかわってくることを考えるべきという意見(24年1月)
元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記 弁護士広告の脅威24年1月11日

  以下ブログから引用
「個々の弁護士としても認識が分かれるところだと思います。要は、弁護士が懸念するような、広告や広告の競争が健全に行われない場合のリスクを、弁護士という仕事の場合、どこまで他のサービス業と同列視して、依頼者本人の自己責任に転嫁できるのか、にかかっているように思います」

「即日相談や着手金の減額キャンペーンなど、かつて見られなかったサービス業としての弁護士の士業努力ととれるものも、弁護士の間で目立ち始め、また、そうした意識そのものも弁護士の中に広がり始めているのもまた事実です。ただ、前記「脅威」もまた、自己保身からではなく、依頼者・市民の「脅威」につながることを懸念する見方があることも、フェアに伝えられなければなりません。」
2012/04/14

弁護士広告指針で変わるもの 24年3月日弁連理事会決定

新弁護士広告指針 ~24年3月の理事会決議による広告指針~日弁連


日本弁護士会連合会はことしの3月15日 理事会であらたな広告指針を決議した。

弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する指針 (平成24年3月15日理事会議決)
これは、弁護士の業務広告に関する規程の解釈および運用の指針(総則 目的から)を定めたものだ。

これまで、弁護士広告は業務広告規程によって規制されてきたが、運用の指針はそれをさらに具体的にわかりやすくしめしたもので、前回の指針は 22年11月17日理事会決議のものである。

弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針 (平成22年11月17日理事会議決)


今回の 弁護士広告指針の改定は、前回の指針をさらに詳細にしたもので、基本的な考え方はかわっていない。

今回の弁護士広告指針の内容について大まかな追加・変更点は次の通りだ。

新弁護士広告指針の変更点

1、規程で使用されている言葉のの解釈について定義を明確にした。

  第1 総則
2 解釈及び運用の基準
(2)「とする」「ものとする」の意味は、運用の基準を示す。ただし 形式違反ではなく、実質的規程の解釈を旨とする
(3)「しなければならない」
(4)「望ましい」

2、著名人や依頼者を使った広告について定めを設けた。

 第2 規程第2条の広告の定義に関する事項
1 広告の主体
(2)広告中に著名人、依頼者等広告主である弁護士等以外の第三者の談話、証言、推薦文等が掲載されている場合

3、法律相談会の顧客誘引目的は広告に該当する、とした。
  →債務整理の依頼者を集客する方法を、法律事務所が採用するようになったことで、この項目が追加されたと思われる。
  2 広告の目的
(2)法律相談会等を一時的な催事場等で行う場合

4、「弁護士情報提供ホームページ」を定義。
報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務の周旋を業とするものであるときは弁護士法72条違反

→「弁護士ドットコム」等の著名な弁護士紹介サイトなどが拡大するほか、弁護士業でない一般広告代理店の運営するサイトに弁護士が紹介され、その依頼者獲得に応じて掲載料を支払うWEB広告が拡大していることに対し、依頼者の有料あっせん行為との関係であらためて留意をうながしたものであろう。
 3 弁護士情報提供ホームページにおける周旋と広告の関係

5、「困惑させ又は過度な不安をあおる」の具体例を追加>
 →2つとも過払い請求広告で、とくにWEB広告を使った広告費投下競争で、表現や相談事例などがより詳細に、キャッチ―になっている状況に歯止めをかけることを狙ったものと思われる


  第3 規程第3条の規定により規制される広告
    5 規程第3条第4号-困惑させ又は過度な不安をあおる広告

 1、今すぐ請求しないとあなたの過払い金は失われます。
 2、強硬な取り立ての状況を記載するなどして債務整理の依頼をしないとあたかも同様の状況に陥るかのように不安にさせて勧誘する広告

6、法律事務所とは別に「借金相談センター」「交通事故相談センター」など別の組織名名称を使う広告は規程違反とした。

 →WEB広告では、キーワードで検索するため、一般には 借金 過払い 交通事故後遺症 というようなワードで引っかかるようなHP作りを目指すが、それを端的に実施するのが、この方法で、借金整理センターと名がつく法律事務所が運営するサイトは、各地で法律事務所のその大小を問わずに依頼者が訪れやすいように、作成されてうる。こうした流れに歯止めをかけることをねらったもの。

  7 (3)
「○○交通事故相談センター」「○○遺言相続センター」等別の組織、施設等の名称を用い、法律事務所等の名称等に関する規程第6条もしくは第13条又は外国法事務弁護士事務所の名称に関する規程第6条の複数名称の禁止に違反する広告

7、専門分野と得意分野の表示について、専門家 スペシャリストなどの表記は従来通り表示を控えるのが望ましいとした。 あらたに、取り扱いを希望する分野の広告表記として「望ましい」表示を例示した。

 旧指針 →豊富な経験を有しない分野については、「積極的に取り組んでいる分野」や「関心のある分野」という表示の方が、正確かつ誠実である。

 新指針
 12 専門分野と得意分野の表示
(3) 豊富な経験を有しないが取扱いを希望する分野として広告に表示する場合
には、次に掲げる例のように表示することが望ましい。
ア「積極的に取り組んでいる分野」
イ「関心のある分野」

8、広告中に使用した場合、文脈によって問題となり得る用語として具体例を新規追加

 13広告中に使用した場合、文脈によって問題となり得る用語
(1) 「最も」、「一番」その他最大級を表現した用語
(2) 「完璧」、「パーフェクト」その他完全を意味する用語
(3) 「信頼性抜群」、「顧客満足度」その他実証不能な優位性を示す用語
(4) 「常勝」、「不敗」その他結果を保証又は確信させる用語

9、ダイレクトメール、新聞折込み広告及び戸別の投げ込み広告については、様態によって規程違反であることを明確にした。
  折り込みちらし、DM、戸別配布がこの間拡大してきたことをうけとの指針

 20 ダイレクトメール、新聞折込み広告及び戸別の投げ込み広告
(1) ダイレクトメール、新聞折込み広告、戸別の投げ込み広告等を利用する場合においては、国民に対し、奇異な感情又は不快感を抱かせないよう格別に配慮するものとし「広告お断り」とあるのに、その表示を無視して戸別の投げ込み広告を行うようなことは、プライバシー侵害とはいえない場合であっても、弁護士等の品位又は信用を損なうおそれがあるものとして、規程第3条第7号に違反するものとする。
(2) 面識のない者に対してダイレクトメールを送る場合には、これを受け取る者が不安を抱かないように、その住所及び氏名(職務上の氏名を使用している者については、職務上の氏名をいう。)等の情報源を明示する等の配慮をすることが望ましい。
(3) 多重債務者リストその他の名簿等ダイレクトメールを発送するための宛先の情報源が偽りその他不正の手段により入手したものであるときは、弁護士等の品位又は信用を損なうおそれがあるものとして、規程第3条第7号に違反するものとする。

10、規程4条に関して、依頼者からの同意を得るのが「無難」 から 書面による同意を得るよう「努める」に変更

 第4 規程第4条の規定により報じできない広告事項と例外的に許される表示
4 規程第4条第3号―受任中の事件
(4) 規程第4条第3号ただし書中依頼者が特定されない場合でかつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合とは、例えば、集団訴訟事件で、原告団への加入を呼びかける必要があるにもかかわらず、依頼者が多数で既に委任を受けている依頼者の個別の同意を得るのが困難な場合等、依頼者が特定されることなく広告することが可能であり、かつ、依頼者の利益にも合致すると思われる場合をいう。この場合において、依頼者が特定されずかつ依頼者の利益を損なうおそれがない場合か否かについては、単に依頼者名が表示されていないというのみではなく依頼者が実際に特定されていないか等、個別具体的に判断するものとする。
(5) 前号の場合であっても、弁護士等は、依頼者の書面による同意を得るように努めるものとする。

11、弁護士法人の主たる法律事務所 と 従たる法律事務所の 広告の誤認、誤導を規制
  → 弁護士法人の支店展開にともない、広告主体や依頼者受付の主体は本店主体という形態も増えているが、これらの形態の広告に一定の制限を設けた

  第8、1、広告した弁護士等の名称の表示、6、弁護士法人の表示における事務所の表示
規程第9条第1項又は第2項の規定により弁護士法人が表示される場合において、主たる法律事務所に関する広告しかされていないにもかかわらず従たる法律事務所の名称及び所属弁護士会を表示することは、同条の規定に違反するものではないが、誤導又は誤認のおそれのある広告に該当する場合に
は、規程第3条第2号に違反するものとする。

12、バナー広告から飛ぶ先のページに弁護士名、所属弁護士会の表示があればバナーに弁護士等の表示はしなくてもOK とした。
  → バナーはEB上の単独媒体ではあるが、表示規定を緩和した。ただリンク先に主たるホームページがあるのはバナーだけではないので、今後の運用の課題

  8、1、(7) ホームページにおけるバナー広告における氏名及び所属弁護士会の表示ホームページにおけるバナー広告は広告に該当するが、バナー広告からアクセスし、必ず表示されるページにおいて当該広告の責任者である弁護士等の氏名及び所属弁護士会が表示されるときは、当該広告の責任の所在は明らかであるといえることから、バナー広告自体に責任者である弁護士等の氏名及び所属弁護士会が表示されることを要しない。

13、電話、メイルなどの通信手段で受任する場合の広告記載事項に、表示例として具体例を追加

  (2) 規程第9条の2各号の表示の例は、次に掲げるとおりとする。
ア受任する法律事務の表示及び範囲の例「貸金返還請求事件訴訟(控訴審)」
イ報酬の種類、金額、算定方法及び支払時期の例「着手金30万円・受任時一括払い、報酬金甲(委任者)の得た経済的利益の12%・経済的利益の算定方法乙(受任弁護士)の報酬基準に定める方法による・報酬金の支払時期事件処理の終了時」
ウ委任契約が委任事務の終了に至るまで解除ができる旨及び委任契約が中途で終了した場合の清算方法の例「甲(委任者)及び乙(受任弁護士)
は、委任事務が終了するまでの間、本委任契約を解除することができる。本委任契約に基づく事件処理が、解任、辞任等により中途で終了したときは、乙の処理の程度に応じて清算を行うものとし、処理の程度についての甲及び乙の協議結果に基づき、弁護士報酬の全部又は一部の返還又は支払を行うものとする。」
  
2012/03/18

弁護士業界の憂鬱

ダイヤモンドで「弁護士業界の憂鬱」という記事が掲載された。

弁護士業界や関係者のみなさんには、参考になるので紹介したい。

“ポスト過払いバブル”は何でもあり
顕在化する弁護士界の憂鬱な現実
バブルと改革にゆれた10年~ ダイアモンドオンライン


回転寿司事業の最終目標は海外展開!
弁護士法人は今後10年で約6倍にする
――石丸幸人・アディーレ法律事務所代表弁護士



もうひとつ、弁護士会の会長選挙が、再選挙になったことが話題を呼んでいる。
弁護士のみなさんは当事者だけに、はじめえのことで、弁護士会の派閥のありかたや、東京・大阪 對 地方との関係で議論を呼んでいるようだ。

ブログのある記事を紹介したい。

人気ブログエムズの片割れ
「日弁連会長選―利益団体でいいのか」


どの業界も、既存と 新しい流れがぶつかって激しく動いているように感じる。

続きを読む

2011/07/29

弁護士TVCMがこれから多様化か?

弁護士CMが2006年に秋に鹿児島にTV地方局で始まってから、すでに5年を迎えようとしています。この間、弁護士のTVCMへの進出は、多重債務問題・「過払い問題」に後ろ押しされる形で出てきました。

これまで、弁護士TV広告のほとんどが、「借金でお困りの方へ電話の問い合わせを呼び掛ける」ものだったのです。

このブログでもとりあげてきましたが、「債務整理に関しての消費者との弁護士・司法書士とのトラブル問題」によって業界の規制がおおむね強化されてきました。
また同時に多重債務問題の縮小(多重債務者の減少)が言われてきており、これらが引き金となって、債務整理のCM一色だった弁護士の広告に変化が表れています。

法律サービスが多様化し、広告という手段を使ったお客への告知をさまざまな形で考えるようになっていると思います。

裁判員制度に関するTVCMが放送されたようです。

北海道のある弁護士事務所がクライアント。

放送エリアは北海道エリアで地方局1局使用ということがクライアント弁護士のブログに記載してありました。

内容は、「裁判員制度によって裁判員に選ばれた人の相談に乗ります」というCMです。
確かに言われてみれば、裁判員に選ばれれば、みんな「びっくり」するわけで、戸惑いに対応するのは、法律家としては自然なことでしょう。

また、制度導入までには法曹界でも賛否がわかれていたことが報道されてきましたから、いまでも反対の法曹者もいると思います。
そんなわけで、このCMが表れても自然といえば自然ですが、債務整理一色の弁護士TVCMにあってこうした流れが今後強くなっていくことを強く感じさせる意味でも、いわば「びっくりCM」ではありました。

Uチューブに公開されていましたので、引用します。 裁判員制度CM
http://www.youtube.com/user/INOhouritsu?feature=mhum

このTVCMはまた、もうひとつ問題を気付かせてくれます。放送局のCMの表現規制という問題です。

というより、放送局のクライアントとして定着していくには、どうしても通らねばならない問題に気がつかせてくれます。

つまりは、業界用語でいう 「考査」 です。

 このTVCMを放送した弁護士がブログで面白いことを書いているので、一読ください。

http://inotoru.dtiblog.com/blog-entry-290.html

このなかで、局の「考査」との対応についてつぎのように書かれています。

*「事前審査に出したところ、全くもって無理。
 そもそも、現行の法律に反対するようなものは一切不可。「憲法」という文字も不可。
 ということで、見る見る間にトーンダウンした内容になりました。

 さらに、今回の内容ですら難色を示し、要は、私の事務所のホームページをCMの中で紹介しているが、そのホームページが裁判員制度に反対している、そのようなところに、CMから行き着くのでは苦情が出かねない、ということで放映はダメということでした。 」*

放送局がジャーナリズムに基づいて永田町政治を大いに茶化し、また本編でショッピング番組を大量に流して、ここは本編だからCM時間にならないと主張しているのは、周知の事実です。

もっといえば、ねつ造問題も登場するのも、この番組本編のなかです。

いわば無限に、憲法に保障された表現の自由を、放送局が本編とするところで享受し、一方で、CM基準という極めて厳格な規定を設けて、CMを考査する制度があるのも多くのクライアントは知っています。

このCMの考査基準のなかには、現行法規を否定するものはだめというとうなモノから、公序良俗に反する「印象」のものはNG、まで大変幅広く解釈できるものとなっています。

この考査制度は、民間放送が広告収入依拠している以上、お金を出す側の要求や要望が通り安いことを前提に、その歯止めとして機能しています。いわばお金を出してCMの枠を買うという広告表現に対して、「お金さえだせば表現が買える」という事態を招かないために必要な制度であると思います。

しかしながら、忘れてならないのは、その運用は、放送局の側に一方的にゆだねられているということです。したがって広告収入に依拠する民放経営は、制度として表現上の基準=公共の秩序や公共の利益にかなうことを前提にした基準、をもてはいますが、その制度も含め広告収入に依拠していることです。

極端にいえば、機構上の指揮系統はあっても、表現上の基準は営業活動のしもべとならざる得ないのです。

かつて、消費者金融は TVCMの華でした。 結果として、多くの多重債務者を生み出す役割の一助を果たしました。
膨大な資金量を広告費に投下したクライアントは大事なお客様だたのです。

また電力会社・電力事業者連合会・は各地で膨大な予算をつかって、国策「原子力政策」を推進してきました。原子力の安全性を間接・直接に描いた本編番組やCMは、過去からいうと膨大なものになると思います。

これらの広告もひとしく、放送局考査を経てCMは放送されてきました。

リーマンショックのあとに、広告費が落ち込んでテレビの終焉とまで言われたときがありました。
それから3年、昨年中盤から今年の3.11までは、放送局広告は広告枠よりも広告を出したいという希望者のほうが多い、ミニバブル状態でした。

またことしの後半も、TV広告は満杯気味になのではと関係者のなかでは言われています。

こうした広告費の需給や、投下金額の多寡、局側にとって放送したい業種かどうか、というような要素が、結局放送局の「考査」に深くかかわっているということです。

要は、放送局側がどう思うかによって、基準は変えられないが、運用は一定の範囲で自主的に変えられるというものです。

たとえば端的な例でいうと、業界の人しかしらない「営業受理」です。
この詳しい中身は省きます。

弁護士広告でいうと、放送局の受け止め方は、債務整理の広告は、最初は弁護士さんがやっていることだから問題ないだろうという雰囲気で、場合によっては弁護士会に問い合わせるようなことが会った程度です。

その後、弁護士業界の内部ガイドラインなどがあって、放送局の考査のハードルがあがりました。

現在弁護士のTV広告でいうと、業界規定の努力義務を援用し、報酬と直接面談の表記を考査で言ってくるところが増えています。
そのまま実施すると、かつての消費者金融のサラ金CMがそうだったように、一瞬で消える文字が画面に一杯ある・・・という事態になってしまうのです。
ある大手の事務所の債務整理広告が公開されていますので、参考までにご覧ください。
   →
http://www.youtube.com/watch?v=jaBVDJWocCY&feature=youtu.be

その根拠の業界の規定は、「努力義務」にとどめているにも関わらずですが、ようは批判されることだけはしたくないためにも、小さな文字だけでもリスク回避のために表記をもとめるというのが、放送局側の慣行になっていると思われます。

いわば リスク回避の記号論としての考査とそのTV的表現ともいえましょうか?

なにも放送局批判をするためにこうしたことを指摘しているわけではありません。

いま起きていることは、いよいよ弁護士業界が、弁護士広告が、放送局広告ならではのことを知っていき、なおかつ粘り強く付き合って、TV広告のクライアント業種として定着しつつあるということを意味するのでは・・と思っています。

弁護士広告の多様化は、クライアントとしての業界の広告を出側への理解も一方で促進しているように思えます。


 写真3_convert_20110729124034
 放送局の弁護士出演番組  この写真と本文は無関係です。


参考までに以下が民間放送連盟の放送基準です。

http://www.mro.co.jp/mro-info/15kokoku.htm
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